入院治療から通院治療に換わって治療強度も低くなったこともあり、だんだんと髪の毛が長くなってきている。
見た目的には気合いの入った高校球児よりちょっと長いくらい、なにも言わなければ普通の坊主という感じの見た目になってきたものの、本人的にはまだ帽子を外すことに抵抗感があるらしく、学校に許可を得て帽子を被ったままで学校生活を送っている。
一方で、今年中学校に入学したばかりの妹の友達は、そのように「少し目立つ」兄についていろいろ詮索してくるようだ。
昨年2年生になったばかりで診断がついて入院することになった時は、自分が直接クラスの生徒に説明をしにいった。
病気のこと。世間一般で言われている病気のイメージ、一方で統計的に明らかになっている病気の経過、その情報ギャップの要因など。
当時彼らは非常に真剣に聞いてくれて理解もしてくれたように思っていたが、それはそれまで一緒にいた友達だったからということと、たった1年とはいえ学年が進んでいることによる精神的な成長による部分が多かったように(いま振り返ると)思う。
妹のクラスメイトにとっては兄はただの他人でしかなく、興味の対象でしかない。そしてまだ小学校から上がったばかり。
妹は妹で自分のなかでちゃんと線を引いてうまくやっているようだけれども、もしかしたらそういう兄の存在が重荷になるときが来るかもしれない。逆もしかり。
犯罪を犯した訳でもなく誰に非があるわけではないけれども、このようなある種の負い目を感じる状況に置かれてしまうこともまた、がん治療の難しさであるとしみじみ思った。