この一時退院のはじめのタイミングでは一分刈りか二分刈りの野球少年くらいの髪の毛だったのが、あっという間にツルツル状態に。
今まで5クールの抗がん剤治療を経験してきた中でここまで完全に抜けることはなかったが、眉毛や地味にチャームポイントだった男の子にしては長い睫毛もほとんどなくなった。
抗がん剤の副作用には脱毛があるのは知られているし、もちろんこれまでもそうだったんだけど、これまでの累積なのか、前回初めて投与したラステット(エトポシド)が彼にとって強く脱毛が出るやつだったのかはわからないけど、とにかく完全に抜けたのを見るのはなんだかんだで初めてだったので、「ああ、がん患者なんだな。うちはがんと闘っている家族なんだ」と再認識した。
が、もちろん別に悲観的になっているわけでもなく、抗がん剤の原理もそれなりに頭に入れているので、必然の現象として出てきているのいうのは当然理解していて、マルコメちゃんとか珍念さんとか、そんな風に呼びながら明るく一時退院の時間を過ごしている。