もうあと1クールを消化すると入院での治療はいったん区切りを迎え、その後は通院での治療に切り替わるわけで、一つの明るい材料として息子自身もその後のことを考え始めている。
ほぼ計画通りに治療も進み、その後のことが具体的にイメージできるようになった最近、よく思い出すシーンがある。
去年の4月に悪性リンパ腫の診断を受けたときのこと、ではなくその直前のこと。
一度リンパ節を取ったあと、しかしまだ診断が出ていない頃、医師から「検体としてリンパ節をもう少々採りたい。全身麻酔でやるから、ついでに胸のところからカテーテルを入れたい」と言われたときが、思えば一番しんどかった。
自分がクローン病になったとき、投薬のために中心静脈カテーテルを入れた状態で入院治療を行っていた。
そういう経験があったから、中心静脈カテーテルを入れること=長期の入院治療が必要なこと=つまり自分たちにとって悪い結果である、というのがすぐにわかってしまった。
まだ小児の悪性リンパ腫がどういうものであるかということを知らなかったこともあり、本当に目の前が真っ暗になってしまった瞬間がその時だった。多分これまでで一番しんどかったのがこの時だと思う。
その後、医師から病気のこと、治療の方針・予定などの説明をうけ、自分なりに公的機関の情報や論文などを読むようになって少しずつ上向いてきたものの、ほんとにあのときがキツかった。
最近、あのときの締め付けられるような気持ちをふと思い出すことが良くある。がんは本当の意味で完治するということがない病気である以上、このある種のフラッシュバックはこれからずっとつきまとうのだろうけれども、このことが逆に今の自分達の背中を押してくれる経験でもあると思って、うまくつきあって行きたいと思う。